LAS VEGAS, NV - JANUARY 07:  Samsung Galaxy Gear, a wearable device, is on display at the Samsung booth at the 2014 International CES at the Las Vegas Convention Center on January 7, 2014 in Las Vegas, Nevada. CES, the world's largest annual consumer technology trade show, runs through January 10 and is expected to feature 3,200 exhibitors showing off their latest products and services to about 150,000 attendees.  (Photo by David Becker/Getty Images)

Fitbitを超えられるか!? 医療用ウェアラブル端末の挑戦

Pocket はてブ

重度の病気を持つ患者について、症状の変化をセンサー等で観察・探知する医療用ウェアラブル端末が、実験段階から市場へ販売される段階へ移りつつある。てんかんや糖尿病等、様々な病気への治療法を変える可能性があるほか、今後、大きく成長する市場として期待されている。

医療用ウェアラブル端末を開発・販売しようとしている会社は、ケンブリッジとマサチューセッツに拠点を持つEmpaticaのように、どれも小さなスタートアップである。Empaticaは、てんかんの患者とその介護者に発作の前兆を知らせることで、発作後に危険な状態(最悪の場合は命を落とす)に陥ることを防ぐことを目的としている。

他の新しいウェアラブル端末企業と同じく、Empaticaも彼らの技術を、ほかの病気の治療にも応用したいと考えている。Empaticaの創立者であり、マサチューセッツ工科大学の教授でもあるRosalind Picard氏は、ロイター通信の取材に対して、彼らのリストバンドをうつ病の患者へ適応する大規模な実験を行っていると話した。

ヘルステック分野の大企業も医療用ウェアラブル端末のトレンドを追っている。かつて、ハーバード大学の心臓内科医であり、現在、Verily(Alphabet Inc傘下のヘルスケア部門)の最高医務責任者であるJessica Mega医師は、最近行われたデジタルヘルスケアの会議で、同社がアメリカ食品医薬品局(FDA)と緊密に連携して、医療用機器の開発を行っていくと述べた。

Soreon Researchは、医療用ウェアラブル端末の市場規模は、2014年時点では20億ドルであったが、2020年には410億ドルまで伸びると試算している。糖尿病や睡眠障害、肥満や循環器系の疾患への対応が主な要因として挙げられている。

しかし、FDAの承認を得るためには、医療用ウェアラブル端末を扱う会社は、適切なデータを集めるだけでなく、収集したデータの分析精度を上げ、自社の製品が患者の健康向上に役立つものであることを証明しなければならない。

「データの収集については、精度がかなり上がっています。しかし、集めたデータの分析と製品の医学的な有効性の証明については、まだ模索段階です。」Scripps Translational Science Instituteのデジタルヘルスケア分野の専門家であるEric Topol医師は話す。

Empaticaがこれまで経験してきた紆余曲折は、多くのデジタルヘルスケア分野の会社が、FDAの承認を得るまでに辿るであろう道のりを表している。

Picard氏が開発した医療機器は、睡眠中の体の動きや心拍数を図るほかに、皮膚に流れる電流の抵抗や湿度を見ることで心理的ストレスの度合いを測ることができる。この機器は、元々、自身の感情を伝えることが困難な自閉症の患者のストレス状態を把握するために開発された。Picard氏は、彼女の研究所の生徒が、自閉症の兄弟のために開発した機器を使い、その際に、彼がてんかん性の大きな発作を起こしたことがきっかけで、てんかんという病気に興味を持った。発作の際、体の一方の半身だけ皮膚の電気反応が極端に大きくなり、それがPicard氏がてんかん発作への機器の応用を目指すきっかけとなった。

Empaticaは、2014年にエンジェル投資家からシードラウンドで200万ドルの資金調達を行い、同社の最初の商品であり、2016年初旬での発売を目標としている” Embrace”について、Indiegogo crowdfunding campaignにおいて70万ドルの出資を集めた。

また、同社は実験用の試作品である”E4”についても、FDAの承認を得る準備をしている。Empaticaは、この試作品でデータを収集し、必要な医学的証拠を揃えるつもりだ。

ベンチャーキャピタルであるCanaan PartnersのJulie Papanek氏は、この戦略を評価しており、「実験において、Empaticaの商品の有効性を様々な角度から実証することができます。」と話す。

Picard氏は、機器で集められたデータのパターンから、発作を予測できるようになることを目標としているが、そのためにはまだ研究が必要である。EmpaticaのFDAへの最初の申請内容はとてもシンプルであり、同社の商品が、ある種のてんかん性の発作を正確に検知し、介護者に知らせることができるとしている。

てんかん患者は、発作による原因不明の突然死(SUDEP)が1000人に1人の割合と言われており、介護者に発作を知らせることは、このような予期しない突然の死を防ぐことに繋がる。Epilepsy Foundation(てんかん患者向けの財団)によると、てんかんの抑制ができない場合は、SUDEPのリスクはおよそ150人中1人まで跳ね上がる。発作の際にそばに人がいなかったときに、死亡するケースが多い。

てんかん発作を検知する機器は、他にもある。体の震えを検知する、Smart Monitorの” SmartWatch”は、その一例である。現在、”Smart Watch”はFDAの承認が取れていないため、保険が適用されないが、近い将来、その状況は変わるであろう。

Smart Monitorの創立者であるAnoo Nathan氏は、同社が製品の有効性の検証を完了し、FDAへの承認手続きを進めていると話した。「これは、もちろん、私たちの当初の予定通りです」と彼女は話す。

ハーバード大学医学大学院のボストン小児病院の医師であり、Empaticaの特許の一部を保有しているTobias Loddenkemper氏は、発作を検知する様々なタイプのセンサーについて、実験を行っている。彼は、大規模な実験を行うことで、患者にとって最適なセンサーや薬が見つかることを願っている。
  
Loddenkemper氏は、てんかん患者の治療ため、名前は公表されていないが、いくつかの製薬会社と手を組み、ウェアラブル端末とそのほかのデータを用いたシステムの開発を行っていると述べた。「もし、私たちの製品がてんかん患者を集中治療室に留める必要を減らすとしたら、病院はお金を払うでしょう」とLoddenkemper氏は話す。
  
この新しい医療用ウェアラブル端末の成長の鍵となるのは、アメリカの医療保険制度改革(the Affordable Care Act)の考え方の一つである「value-based healthcare(医療サービスの結果とそのコストの両方を見て、患者にとって最適な医療を選択する)」である。この制度は、医師や病院に、患者の健康を保つことについて、経済的なインセンティブを与える。

これまでの医療サービスに応じた料金設定では、病院は、患者が入院した際にお金を得ることができる仕組みになっている。ワシントンに拠点を置く、ヘルスケアコンサルタントのJody Ranck氏は話す。「そのため、患者が入院しないと、病院はお金を得ることができない」

一方で、ヘルスケア関連会社は、人々、特に慢性的な病気を抱えた患者が通院しなくてもよいようにデータを集めている。「このようなウェアラブル端末は、患者の健康状態に関するデータを収集するツールにすぎない」とRanck氏は話す。

慢性的な疾患、特に糖尿病の分野について、現在、膨大な数の研究が進められている。そして、その研究の多くは、Apple IncのHealthKitやGoogleのGoogle Fit、SamsungのSAMIなどに代表されるデータ収集のためのプラットフォームを利用している。

VerilyのMega氏は、2015年10月に開かれたScripps digital health conferenceにて次のように述べる。
「企業は、今後、グルコースレベルの変動や心房細動のような異常な心臓の動きなどの明確なシグナルについて、細かい研究と分析が必要になってくるであろう。」

しかし、テクノロジーの進歩によって、上記のような明確なシグナルだけでなく、皮膚の電気反応のような、研究されていないシグナルを検知することも可能になる。「おそらく、このようなシグナルを検知することは、心臓発作のより早く予測することが可能にする。」とMega氏は話す。

参考記事:こちら

====
今回の記事はいかがだったでしょうか?
当メディアの運営会社、HEALTHBANK PTE.LTDは、東南アジアにおける富裕層向け医療コンシェルジェサービス、ヘルスケア関連IT事業の展開、および日本のヘルスケア関連企業の東南アジアへの進出支援を行っております。お気軽にお問い合わせください。

Pocket はてブ